消費者と対人影響力・欺瞞的説得と苦情行動(第14回)

皆さんこんにちは!中川ゼミです!今年は梅雨が大変長くじめじめした暑さが続きますね。また、コロナウイルス感染症も第2波が到来したとされ全国的に感染者数が増加しており益々注意が必要となっています。さて、本日のゼミでは、前半に山田一成・池内裕美(2018)「消費者心理学」第10章、11章の発表が行われ、後半では柴田康順(2018)「心理統計の使い方を学ぶ」第8章の発表が行われました。

山田一成・池内裕美(2018)「消費者心理学」第10章では消費者の消費行動における対人的影響について述べられました。人は商品・サービスを購入する際に他人から様々な影響を受けています。そのため対人的影響を利用することは商品・サービスを提供する側にとっては大きな武器となります。社会心理学者であるチャルディーニは、社会心理学の観点からそれらを「影響力の武器」として返報性、コミットメントと一貫性、社会証明、好意、権威、希少性の6つに分類しました。今回の課題では自分自身の購買の中でこの6つとつながるものの事例を挙げるというものであり、どのような事例が挙げられるか楽しみです。また教科書後半では対人的影響と人間の欲求の関係についても述べられました。私たちの認知・感情・行動は他者の存在を意識しただけで変化することがあります。その理由として、人間には他者に対して「こうありたい」「こう思われたい」という欲求が存在するからであり、このような欲求を社会的欲求といいます。クリストファーソンとホワイトは消費者心理学における対人的影響の諸研究を社会的欲求の観点から、他者とのつながり、ユニークネス、自己高揚、印象管理の4つに分類しました。他者とのつながりは「他者と一緒にいたい」「他者とかかわりたい」という欲求、ユニークネスは「他者とは異なったユニークな存在でありたい」という欲求、自己高揚は自分自身を肯定的に思いたい、否定的な自己評価を避けたいという欲求であり、印象管理は他者から見られる公的状況において他者から良い印象を持たれようとすることです。

続いて山田一成・池内裕美(2018)「消費者心理学」第11章についての発表を行いました。ここでは欺瞞的説得と苦情行動について述べられていました。欺瞞(ぎまん)とは、人を「欺いて、騙すこと」という意味であり、欺瞞的説得は消費者の注意や思考を唱導方向に向けてコントロールするための社会的な影響戦略のことです。市場における欺瞞の特徴としては、①あらゆる市場の欺瞞は意図的になされる。②送り手自身が自らの言動がいかに消費者を惑わせるかを自覚している。③すべてマーケティング担当などのプロによって入念に準備された企てであるという3つが挙げられます。また、欺瞞的説得の例を挙げると、広告の不当表示があります。不当表示とは実際よりも著しく優良または優位であると消費者に誤認させ、消費者の適正な商品選択や公正な競争を妨げる恐れがある表示のことであり食品偽装などがあります。さらに市場における欺瞞的説得の最たる例として、悪徳商法が挙げられます。悪徳商法の例としては架空請求詐欺、ワンクリック詐欺、ネット通販詐欺、マルチ商法、ねずみ講、点検商法、デート商法、当選商法など多があります。悪徳商法の手口は、近年ますます多様化・巧妙化しており悪徳商法に関するトラブルは後を絶たないです。では、なぜ多くの人が悪徳商法に騙されてしまうのでしょうか?言い換えれば、なぜ欺瞞的説得に応じてしまうのでしょうか?その答えとして人が「自分だけは大丈夫」と考える楽観バイアス、他者のメッセージを正しいこととして受け取る真実バイアスが働くからです。また、消費者に関わるトラブルとして、不良品や商品の不具合などの発生が多くなっていることが挙げられます。消費者はこうした場面に遭遇した際、不平や不満を訴える苦情行動を起こします。近年は苦情社会の到来と言われるほど苦情が増加しており、誰でも簡単に不平や不満を訴えることが可能となっています。

後半では、柴田康順(2018)「心理統計の使い方を学ぶ」第8章の発表を行いました。ここでは、第2班の方たちが確認的因子分析についてHADを用いデモンストレーションを行いながら説明を行ってくれたおかげでみんな理解できてそうでよかったです。

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