知識構造とブランド(ゼミ第7回目)

皆さんいいかがお過ごしでしょうか?緊急事態宣言が全国的に解除され、少しずつですが元の生活に戻りつつあります。

さて第7回のゼミが6月4日に行われました。前半では山田一成・池内裕美(2018)「消費者心理学」の第4章から出題された課題の発表と第5章についてパワーポイントでの発表、後半は論文の書き方についての講義がおこなれました。

第4章での課題の内容は、「計画購買で買われやすい商品と衝動購買で買われやすい商品それぞれの例を挙げ、説明する」というものでした。事前に買う商品を計画して買う計画購買の例は財布、時計、ゲーム機、ブランド品、車などが挙げられ、金銭面で失敗したくないケースが多く感じました。店頭で商品を見たことでそれに関連した商品も購入する関連購買の例はお菓子、靴磨き、ドレッシングなどが挙げられ、私も実際にABCマートで靴を購入した際に店員に靴磨きを進められ購入した事があるのでなるほどと思いました。無計画に商品を購入する衝動購買の例はアイスクリーム、スーパーのお菓子、カップ飯などの例が挙げられました。

↓関連購買の例

 また、第5章の内容を石橋・今村・丹羽・野々村が発表しました。発表の内容としては、以下の1~4でした。

1.想起と記憶
テレビの広告を繰り返し見ることで、広告に登場したブランドや広告全体を思い出すことがあります。この現象は人間の記憶システムが複数存在することに原因があります。そのシステムは「長さ」と「外部からの刺激が必要か否か」に分類され、前者は「長期記憶」と「短期記憶」、後者は「顕在記憶」と「潜在記憶」と呼ばれる記憶システムが存在します。

↓長期記憶のタイプについて

2.知識と消費者行動・ブランド管理
消費者は何か行動を行う上でまず記憶に蓄積されているブランドの知識を探索し、既存の知識が不十分な場合は外部探索をし、意思決定を行います。故に知識量の差で意思決定にも差が生まれます。この知識レベルに合わせて対応をすれば、効率的にブランド管理ができます。また、消費者のブランドに対する知識はブランドイメージの元にもなります。このようにブランドを管理していく上で消費者が持つブランド知識はとても重要です。

3.知識構造のタイプ
消費者が持っている知識構造は商品の違いを判断する際に使用する「カテゴリー知識構造」、消費者が外界を理解するために使用する「スキーマ」、行動に関する知識である「スクリプト」、どのような知識がありそれぞれの知識がどのような関係にあるかに着目した「意味ネットワーク」の4つに分類されます。

4.ブランド管理と連想ネットワーク
消費者が持つブランド知識を利用してブランドを管理する場合には、消費者調査を行い、知識を収集し、ブランドの現状を理解します。その方法は大きくわけて、収集された連想の内容や評価から消費者が持つブランド知識を知る方法と連想ネットワークを再現してネットワーク全体を理解する方法の2つに分類されます。

後半では、Huyghe, E., Verstraeten, J., Geuens, M., & Van Kerckhove, A. (2017). “Clicks as a Healthy Alternative to Bricks: How Online Grocery Shopping Reduces Vice Purchases.” Journal of Marketing Research, 54 (1), 61-74 を例に、論文の書き方についての講義が行われました。まず「タイトル」で興味を引き、「要約」を過不足なく書く必要性があります。その後「始めに」で問題の背景、分析結果の概要、先行研究と問題点、本研究の新規性、研究の意義を記述します。この「要約」と「始めに」は論文を書く上で非常に重要で、最初のこの二つで論文の内容が全て分かるようにしなければなりません。また、仮説の導出方法として、「先行研究では~が明らかになっている」→「このロジックを、研究の文脈(この論文の場合はオンラインとオフラインの購買の違い)に拡張すれば、××ということが推論される」→「したがって、仮説△△が導出される」という書き方を学びました。次回(論文の後半)も引き続き論文の書き方について学習します。しっかりと身に付けて、自分たちのインゼミ論文作成に生かしていきましょう!

中川ゼミのtwitterアカウントはこちら