美しさと魅力の心理②(ゼミ第7回)

こんにちは。新緑が目にしみる頃となりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
さて、5月20日に第7回目のゼミが行われ、教科書『美しさと魅力の心理』(三浦佳世・河合純一郎/編著)のI-10~12,I-13~21についての内容発表がなされました。

I-10~12では、典型的見え(典型的景観)や、構図バイアス、典型性選考理論について学びました。典型的見えとは、物体の特別な視点のことを言います。われわれが日常的に見かけている物体をより認識しやすくしたり、好ましく感じさせたり、身近に感じさせたりする視点が存在するのです。典型的見えとなりやすいのは、斜めの視点だそうです。その理由は、物体の知識に役立つ視覚的な情報を多く得ることができることや、物体のあらゆる視点が斜めとみなされることが多いためです。ただし、典型的見えが斜めでないものも存在します。典型的見えの決まり方には、視点的・形状的なことだけではなく物体についての知識や文化・習慣が影響するのだそうです。 どのような文化や習慣の違いが、どのように典型的見えに影響を及ぼすのか、とても気になるところです。

 

I-13~21では、覚醒ポテンシャル理論やアプレイザル理論、不適合理論、選択盲、感情一致効果、MAYA閾、プレグナンツ傾向などについて学びました。 興味深い理論や考えが多数登場しましたが、その中からゼミ生がホワイトボードを利用して説明してくれたものをご紹介します。〈I-19シンプル・イズ・ベスト-プレグナンツ〉のプレグナンツ傾向です。プレグナンツ傾向とは、視野全体が全体として最も簡潔で秩序あるまとまりをなそうとする傾向のことをいいます。これによって視野内の複数の対象が具体的にどのようにまとまるのか、というのを6つからなる郡化の要因として示しています。①近接要因とは、距離的に近くにあるもの(⚪︎ ⚪︎ ⚪︎⚪︎ ⚪︎ ⚪︎)がまとまりやすいことをいいます。人は距離が近いもの同士を同じグループであると認識し、相対的に遠いものは別のグループとして捉えるそうです。②類同の要因とは、類似した特性を持つもの同士(⚪︎⚪︎ ● ● △ △ ■ ■)がまとまりやすいことをいいます。色や形、方向などによってグループを判断し、相対的に別の色や形、方向のものは別のグループとして捉えます。③閉合の要因とは、閉じた図形(【】,『』,[])となるようにまとまりやすいことをいいます。これらのほかに、④よい連続の要因,⑤よい形の要因,⑥共通運命の要因があります。6つの要因の共通点は、まとまることでより簡潔で少ないエネルギーで情報処理が可能になる点にあります。また、生後3~4か月の乳児もよい形(対称的な形)を識別でき、よい連続の要因に従って図形を知覚していることが示唆されています。そして「よい形」のまとまりは必ずしも規則的、対称的なことを示すわけではなく、あくまで全体としての簡潔さや単純さを意味するのだそうです。 これらを踏まえ、群化の要因を利用してデザインされたものを身の回りから探してみると面白いかもしれません。私は群化の要因を生かして、ゼミで使用するスライドを見やすいものに作成・デザインしていきたいと思いました。

 

 

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