周りの目を気にして買い物していませんか (ゼミ14回)

日中の気温も上がり、汗ばむ頃となってきましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。こまめに水分を取り、熱中症には気をつけましょう。

さて、7月8日には第12回中川ゼミが行われました。今回は2021年12月に行われる予定のMRGP(マーケティング・リサーチ・グランプリ)に向け、論文レビューがなされました。論文レビューとは特定のテーマに関する研究論文などの著作物の概要や評価をまとめて記述することを言います。すでに存在する論文から明らかになっていること、明らかになっていないことを明確にし、自分たちの研究につなげていきます。

今年のMRGPのテーマとして、①感覚マーケティング、②SDGsとマーケティング、③リモート時代のマーケティングの3つが提示されています。①の感覚マーケティングでは消費者の感覚を訴求するマーケティングのインプリケーションを提示する研究、消費者にどのように五感を通じてアプローチすれば購買を促進できるかについて考えます。②のSDGsとマーケティングについては、SDGsの17の目標のうち取り組みたい社会課題を挙げ、企業や消費者、国や自治体の立場からマーケティングにできることを検討します。③のリモート時代のマーケティングについては、字の如く、リモート時代のマーケティングについて検討し、実務に対する示唆の提示を行います。顧客を誰に設定するのか、リモート時代のどのような課題に答えるのか議論していきます。

今回、論文レビュー担当の2グループはどちらも、②のSDGsとマーケティングについて取り組んでいました。

前半のグループは、ターゲットマーケティングのしすぎが社会通念の強化につながってしまうのではないか、ということを疑問として挙げていました。(社会通念とは・・・「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」といったような、 社会一般に通用している常識や見解のこと)そこで、一部の商品に関してはターゲットを絞りすぎなくてもいいのではないかという考えを発表してくれました。一部の商品として挙げられたのは、男女を区別しなくてもいい商品群です。例えば、男性がピンクの商品を購入したい場合に「ピンク=女子」という概念が障壁になり購入しづらく、またこれが社会通念の強化につながってしまうというようなことです。

この研究を行なっていく上で、すでにある論文をレビューし、明らかになっていることとそうでないことを認識し自分らたちの研究に生かしています。

先行研究から明らかになっていることについて、従来の購買において重視する点には性差があること、オンライン上の購買には重視する点の性差がなくなってきていることなどを挙げていました。男性は機能的な問題を重視しているのに対し、女性は情緒的社会的要因及びアイデンティティ関連を重視しているそうです。オンライン上の購買においては、男女どちらとも経済・効率の機能的な問題を重視しているそうです。これらから考えられるのは、店舗では周りの目を気にして購入し、オンラインでは周りの目を気にせず、好きなものを購入しているということです。明らかになっていないこととして、従来の購買とオンライン上での購買を組み合わせた場合にどのような結果が得られるのかを挙げていました。これらの結果などを踏まえ、店舗での購入において周りの目を気にせず、誰もが買いやすくなる方法を研究しています。

後半のグループは、サスティナブルな商品の効果的な販売方法について研究しています。消費者の多くはサスティナブルな商品をポジティブに評価し、購入意欲を示します。ですが、実際に購入にいたる人はとても少なく、サスティナブル商品は売れ行きが悪いです。このような問題を解決するために、効果的な販売方法を探っています。

効果的な販売方法について、いくつか例が挙げられました。広告メッセージ(店頭POPなど)の利用、罪悪感の利用などです。広告メッセージについては、内容や伝え方により消費者の意識や購買が左右されること、誰がメッセージを伝達するかによって、同じメッセージであっても影響力が異なることなどが明らかになっています。罪悪感の利用について、「CRM製品において罪悪感は購買意欲を促進するのか」という研究などにおいて、「自責・後悔」などの罪悪感が購買意欲に正の効果を与えることが明らかになっています。消費者の罪悪感をうまく煽ることにより、サスティナブルな商品の購買につながるのではないかと考えています。今後、罪悪感を喚起させるメッセージの内容とその伝え方を研究していきます。

ゼミ終了後も各グループごとに居残りをし、研究に必要な論文を探したり意見交換等を行っています。MRGPに向け、互いに積極的に活動している姿が刺激になります。ゼミ生は、面白い研究発表ができるよう、一生懸命取り組んでいきましょう。

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