完璧でないことが美しい?(ゼミ第8回)

最近は日差しが強くなり半袖を着ている人を多く見かけるようになりました。皆さん衣替えはしましたか?5月27日に第8回目のゼミが行われました。前半は課題発表と教科書『美しさと魅力の心理』(三浦佳世・河合純一郎/編著)の第I部「美しさと魅力」をめぐる基礎理論の21-24の発表が行われました。後半では前半の教科書の続きである25-30の発表と「Excelで今すぐはじめる心理統計」の第8章「相関とその検定」について学びました。はじめに課題発表が行われました。今週の課題は「商品広告で用いられている典型的見えを説明する」というものです。ここで商品を人が身につけているか、そうでないかで見え方が変わってくるのでは?という疑問が生じました。具体的には商品を人が身につけていると斜めからの視点が多く、商品単体だと真正面や真横といった視点がいくつか見られました。商品によって典型的見えは異なりますが、その他にも異なる要因があるのではないかという疑問は非常に興味深いものでした。この点についてはまた来週詳しい説明があります。個人的には同じ靴でもスニーカーは真横からが多く、パンプスなどは真上からの視点が多い気がしました。

次に先週に引き続き「美しさの魅力の心理」(三浦佳世・河原純一郎/編著)の第I部「美しさと魅力」をめぐる基礎理論の21-24の発表が行われました。皆さんはミロのヴィーナス像を美しいと感じますか?多くの人が美しいと感じるのではないでしょうか。そのように感じるのはこのトルソー像が未完成状態だからです。ここでの未完成状態とは不完全な状態にあるものを完全な姿へと導く心理的な働きである「未完の完」の状態におかれたもののことを指します。未完であることが見るものに自由な想像力を与え、美しさに上限を設けません。もし両腕があったらここまで有名ではなかったと思うと未完の美の奥深さを感じずにはいられませんでした。他にも興味深い発表がありました。人は左下から右上という時間的な序列を見出すことが多いという発表に対し、屏風や巻物は右から左に時代の流れがあるといった意見が出ました。確かに鳥獣人物戯画などは右から左に時が進んでいます。その理由として日本は小説を右ページから左ページに読み進めていき、西洋などはその反対であるため文化的・時代的に違いが生じるのではないかと言った意見が挙がりました。

後半は前半の教科書の25-30の発表が行われました。今まで行ってきた教科書発表はただ教科書の内容をまとめて発表しているだけではありません。ゼミ生1人1人が分かりやすいように具体例を載せるなど工夫を凝らしています。今回はそれらをいくつか紹介します。まず1目は冗長なものは良いものである(=情報量は少なく、負荷が低い)ため処理(理解)が楽であることについての具体例です。ここではフルーツグラノーラが挙がりました。ブランドネームをフレグラにしたことで単純で好まれやすくなったという例です。2つ目は身近なアフォーダンスの例です。アフォーダンスとはデザインの世界では「モノの見た目の形状が適切な使い方を誘発している状態」のことを指します。私はこの説明ではあまり理解できませんでした。ここでは電車に並ぶための地面に書かれているラインや捨てるものに近い形をしているゴミ箱が例に挙がりました。こういった具体例はより理解を深める手助けになります。最後に「Excelで今すぐはじめる心理統計」の第8章「相関とその検定」を学びました。注意すべき点として関係の強さというのは傾きではなく、散らばり具合であるという点です。またどのような変数がどの尺度水準に該当するのか復習しておくと良いと思いました。

来週は第1回目となるインゼミの中間報告が行われます。先生や他班からの意見・アドバイスを参考にし、より良い研究を進めていけるように頑張っていきましょう。

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