エシカル商品を買ってもらいたい!!(ゼミ15回)

ジメジメした梅雨も明け、セミの鳴き声が聞こえてきました。皆さんはいかがお過ごしですか?7月15日の第15回目は先週に引き続き論文レビューを行いました。前半、後半に1班ずつ発表しました。H Pは少しでもわかりやすいように!と思い語句の説明などを加えいています。そのためボリュームは多めとなっています、、。しかし、大変興味深い研究内容となっているため最後まで読んでいただけると幸いです!!まず前半の発表班の研究目的は『環境にやさしい、できる限り最低限の包装、“省包装”を促進させること』です。この研究により日本の年間プラスチック排出量削減や、近年問題となっているゴミの海洋流出抑制に貢献できます。省包装を促進させるのは、省包装商品はあまり売れていないからです。その理由として省包装は知覚品質が低い商品であるからです。 “知覚品質が低い商品”というのは「買いたい」と思わせない(購買意欲が低い)商品だと言えます。そのため「買いたい」と思わせる(購買意欲が高い)ことが必要です。

その手法としてナッジと説得コミュニケーションを用います。ナッジとは消費者の選択の自由を確保しつつ、行動変容を引き起こすことです。簡単に言うとちょっとしたアプローチで人の行動を望む方向に変えることです。これと社会的規範(他者の行動)を掛け合わせることで、多くの人が省包装を買っているから自分も買うようになることで省包装商品を買わせることができます。次の説得コミュニケーションとはコミュニケーションを通して、受け手の態度を変えることです。送り手の要因によって受け手の態度は変わります。送り手が持つ魅力度や、親しみやすさといった“好感度”、信憑性がある“専門性”は送り手の困っていることを止めるよう受け手に働きかける効果があります。受け手は送り手の意図的なコミュニケーションによって騙された、のせられたといった不本意な感情(心理的リアクタンス)を引き起こすことがあります。メッセージや環境の作成にはそれを引き起こさせないことが重要です。メッセージは最も効果的な提示方法である「両面提示(長所と短所を提示)」と「反駁」を組み合わせたものです。つまり長所と短所を提示し、短所に反論しネガティブなイメージを抑える方法です。実は今回のH P内にもこの手法を取り入れてみました。皆さん、どこだかわかりましたか?この班はこれらを用いて研究目的に取り組みます。

 

後半の発表班の研究目的は『態度と行動の乖離のメカニズムを理解し、今後のエシカル消費促進に役立てる示唆を得ること』です。この研究によりエシカル消費を促進し、人、地域、社会、地球環境の活性化・改善に貢献できます。なぜならエシカル消費とは環境や人権に対して十分配慮された商品やサービスを選択・購入することだからです。現在エシカル消費は世界に広がっています。しかし日本では十分に普及しておらず、いまだにネガティブな印象を持つ割合が高いのが現状です。しかしエシカル消費に対する興味度や意識の高さは確認されています。つまりエシカル消費に対する興味・関心(態度)と実際にエシカル消費を行う(行動)が乖離しているのです。なぜこのように乖離が生じるのか、そのメカニズムについて研究を進めていきます。態度と行動の乖離については様々な研究が行われています。しかし従来の理論には購買行動に及ぼす外部環境要因が考慮されていない、行動意図と行動の関係性の説明が不十分など乖離の根本的な解決策とならない可能性が示唆されています。

そこで心理的距離と解釈レベル理論を用います。心理的距離には対象を抽象的、本質的、目標関連に捉える高次解釈レベルと、対象を具体的、副次的、目標日関連的に捉える低次解釈レベルがあります。またある行為を遠い将来に行うと想定した場合は、当該行為の望ましさに注目します。近い将来に行うと想定した場合は、当該行為の実現可能性に注目します。解釈レベル理論とは消費者が想定した購買や、消費の時期、用途の違いによる選好の変化に対して、「心理的距離」の概念を導入することで、意思決定プロセスに直接的な説明や予測を提供する理論です。このことから態度と行動の乖離は購買意思決定時点(高次・遠い将来)と購買時点(低次・近い将来)では心理的距離が異なるから重要視される要素が異なるため、という仮説を立てました。

両班まだまだ改善の余地はあります。先生やゼミ生からのアドバイスを取り入れ研磨していきます!

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