味覚と触覚とマーケティング(ゼミ第5回目)

こんにちは!ゴールデンウィークも終わり、だんだんと気温が上がって、春の終わりを感じるようになってきました。そんな暖かな陽気の中、第5回目の中川ゼミが行われました。今回は「感覚マーケティング」(A.クリシュナ/著)における第4章「嗅覚」の課題発表、第5章「味覚」の内容発表、第6章「触覚」の内容発表の3つが行われました。

第4章の課題発表では前回の「嗅覚」に関しての課題で、「ポジティブな感情を有してその商品や経験との間に取り消すことのできないリンクを形成した例」が発表されました。僕が特に印象に残ったのは5班に所属している、2年生の山腰さんの発表です。かの有名漫画ドラえもんの登場人物、ジャイアンをモチーフとしたルームフレグランスを例に出して発表していました。山腰さんはこの商品の香りを嗅ぐと自然とリラックスできるそうです。これは部屋でくつろいでいた経験とそのときに嗅いだこの商品の香りがリンクすることで引き起こされる効果であると説明しており、課題に沿った素晴らしい発表であったと感じました。

 

 

第5章「味覚」についての発表では、最初に味覚とはどのような知覚なのかを学びました。味覚は先天的に身につけた器官である味蕾からの情報もかなり重要だが、他の感覚と合わさって知覚されるものであると「シズル感」という消費者の5感に影響を与え、購買意欲をかき立てる役割を持つ広告表現を例に出すことで説明していました。そして具体的にどのように他の感覚が、味覚判断につながっているのかを「複合感覚」を例に出して説明していました。複合感覚とは複数の感覚を用いて認識される立体的な感覚のことです。この感覚を発表の中では重要視しており、全ての味覚が人工甘味料によって再現できるようになるという主張を否定しています。つまり、味覚は味蕾による情報と同じくらいに他の感覚が、重要であり、食事環境などが変化し続けているため、味覚を完全にコピーすることが不可能であると主張していました。僕も同じものを食べるのにも、その食べ物に合った音楽が流れていたり、場所が清潔であったり、いい匂いがあるほうがよりおいしく感じるような経験があるのでとても納得できる内容でした。

 

 

第6章「触覚」では、最初に触覚が硬さ・手触り・温度・重さをだけでなく、形を認識することができることを物体を被験者にグループ分けさせる実験を行った論文や、盛り上がったドットで文字を表現するルイ・ブライユの点字を例に出して説明しました。そのように触覚から様々な情報を得ていることから、製品の売れ行きに関しても接触が大きく関わっているとし、ワインを飲むとき、ガラスの容器で飲んだときとプラスチックの容器で飲んだときの違いについて例を出して説明していました。結果的に快楽志向の高い人は低い人よりも容器の違いに敏感であり、触覚も味覚に影響を与えている可能性を示していました。快楽志向というのは接触のタイプ中でも快楽的接触という触覚経験そのものを求める接触をより求める志向のことです。自分はあまり容器の違いが味覚に影響を与えた経験がなかったので実感がしにくかったですが、確かに明確に容器の違いが比較できる状態だと味覚に関して触覚が影響するかもしれないと想像することができました。この後は味覚だけでなく、他の感覚と触覚の関係について説明し、最後に感染の法則について触れていました。これはどのようなものかというと例えば私たちは床に落ちたものをあまり口にしたいとは思わないと思います。それはすぐに拾ったとしても何か付いているのではないかと疑ってしまうからです。これがまさに感染の法則です。嫌悪感を抱く商品と食品を並べ、被験者の購買意欲にどれだけの影響があるかという実験を行った論文を基にどんなときに感染の法則が当てはまるのかについて説明していましたが、それだけでなく、古着やリユース商品などを例に出し、嫌悪感にも程度があるのではないかなどの疑問も紹介していました。僕は感染の法則についての説明を聞いたとき、小さい頃に流行ったいじめを思い出しました。A君菌が付いたーなどと喧伝し、対象の人物に深い傷をつける行為のことです。これも感染の法則、つまり人物が触れていたことを相手に強く意識させることで不快感を煽っていたのではないかなと思いました。

 

 

今回のゼミで感覚マーケティングの全章の学習が終了しました。どの感覚も独立して重要な存在なだけではなく、それぞれが相互に影響し合って成り立っていること。そしてそれらがマーケティングに大きく生かせる可能性があることを知ることができました。これからの研究のための視点や知識をこの本から多く学ぶことができたと考えています。この姿勢を忘れず、ゼミ活動に取り組んでいきたいと思います。

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